2021年03月31日

小学校給食費無償化にならなかった理由



3月定例会が終わりました。

小学校給食費無償化は、可決されませんでした。

主な理由

① 財政的な裏づけがない

② 無償化の目的とその対象が不明確

③ 低所得世帯に支援が及ばない


① 小学校給食費無償化には、毎年約8億円の予算が必要です。今回約5億円は、道路や公園の維持管理など様々な市民サービスの予算を削減し確保したとしても、差額の約3億円は、財政調整基金を取り崩しての予算組みであり、恒久的な財源の裏づけがなされていません。財政調整基金とは、災害時など不測の事態のために市が貯金しているお金です。もしもの時のお金を取り崩してまで給食費を無償化することに多くの議員が賛成できませんでした。賛成したのは、議長を除く35人の議員のうち、7人(まちフォーラム4人、共産党3人)だけでした。

② 子どもたちの健やかな心と体を育むとともに、保護者の教育費負担を軽減するために小学校の給食費を無償化しますとのことですが、中学校や、幼稚園・保育園は無償化しなくてもよいのでしょうか?小学校だけ無償化することが理にかなっていると言えますでしょうか?また、「子どもたちの健やかな心と体を育む」ことも無償化の理由にありますが、そもそも給食が有償か無償かは関係なく、今までと何ら変わらない給食を食べるわけですから、理由としては当たらないと言えます。さらに、食物アレルギーや、不登校など様々な理由で給食を食べられない子どもたちに対しての支援策は講じられておらず、施策として十分に練られているとは言えません。

③ これまでも約15%の低所得世帯については、すでに給食費無償化がなされております。したがって、小学校給食費無償化は、残る85%の世帯に児童1人あたり年間約45,000円の負担が軽減され無償化の支援が届くことになります。その一方で、もっとも支援を必要とする低所得世帯には支援が及びません。同じ8億円を使うのであれば、本当に支援を必要としている低所得世帯に支援することの方が有意義であると考えます。

 毎年約8億円ということは、10年経てば80億円です。多大な財政負担です。老朽化している市内小中学校の校舎の大規模改修は、令和3年度の見込みで改修済みの体育館は全体の50%、校舎は全体の34%と、まだまだ大規模改修も道半ばです。校舎については未だ約3分の1しか終えていないのです。洋式化されていないトイレや雨漏りする古びて傷んだ使い勝手の良くない校舎で勉強している児童生徒もまだまだ大変に多いのが現状です。また、令和3年度の大規模改修の予算額は約38億円です。今後も毎年巨額の事業費が必要となります。保護者の教育費負担軽減のために、毎年約8億円を充てることも考え方としてはあるかと思います。ですが、私は、校舎の大規模改修を手厚く着実に進め、未来を担う児童生徒が心地よく学校で勉強できる環境を整えることの方が必要性が高いと考えます。

 いずれにしましても、小学校給食費無償化は、まだまだ議論がし尽くされておらず、現段階ではあまりにも性急であると考えます。

 市内小学校の給食費は、1食あたり240円の食材費のみの負担です。他の自治体と比較しても決して高くはありません。負担していただける方には受益者負担が妥当であると考えます。小学校の給食費は、今まで通りのご負担をお願いします。  


Posted by 伊藤哲朗 at 16:00Comments(0)ブログ

2021年03月31日

小学校給食費無償化にならなかった理由



3月定例会が終わりました。

小学校給食費無償化は、可決されませんでした。

主な理由

① 財政的な裏づけがない

② 無償化の目的とその対象が不明確

③ 低所得世帯に支援が及ばない


① 小学校給食費無償化には、毎年約8億円の予算が必要です。今回約5億円は、道路や公園の維持管理など様々な市民サービスの予算を削減し確保したとしても、差額の約3億円は、財政調整基金を取り崩しての予算組みであり、恒久的な財源の裏づけがなされていません。財政調整基金とは、災害時など不測の事態のために市が貯金しているお金です。もしもの時のお金を取り崩してまで給食費を無償化することに多くの議員が賛成できませんでした。賛成したのは、議長を除く35人の議員のうち、7人(まちフォーラム4人、共産党3人)だけでした。

② 子どもたちの健やかな心と体を育むとともに、保護者の教育費負担を軽減するために小学校の給食費を無償化しますとのことですが、中学校や、幼稚園・保育園は無償化しなくてもよいのでしょうか?小学校だけ無償化することが理にかなっていると言えますでしょうか?また、「子どもたちの健やかな心と体を育む」ことも無償化の理由にありますが、そもそも給食が有償か無償かは関係なく、今までと何ら変わらない給食を食べるわけですから、理由としては当たらないと言えます。さらに、食物アレルギーや、不登校など様々な理由で給食を食べられない子どもたちに対しての支援策は講じられておらず、施策として十分に練られているとは言えません。

③ これまでも約15%の低所得世帯については、すでに給食費無償化がなされております。したがって、小学校給食費無償化は、残る85%の世帯に児童1人あたり年間約45,000円の負担が軽減され無償化の支援が届くことになります。その一方で、もっとも支援を必要とする低所得世帯には支援が及びません。同じ8億円を使うのであれば、本当に支援を必要としている低所得世帯に支援することの方が有意義であると考えます。

 毎年約8億円ということは、10年経てば80億円です。多大な財政負担です。老朽化している市内小中学校の校舎の大規模改修は、令和3年度の見込みで改修済みの体育館は全体の50%、校舎は全体の34%と、まだまだ大規模改修も道半ばです。校舎については未だ約3分の1しか終えていないのです。洋式化されていないトイレや雨漏りする古びて傷んだ使い勝手の良くない校舎で勉強している児童生徒もまだまだ大変に多いのが現状です。また、令和3年度の大規模改修の予算額は約38億円です。今後も毎年巨額の事業費が必要となります。保護者の教育費負担軽減のために、毎年約8億円を充てることも考え方としてはあるかと思います。ですが、私は、校舎の大規模改修を手厚く着実に進め、未来を担う児童生徒が心地よく学校で勉強できる環境を整えることの方が必要性が高いと考えます。

 いずれにしましても、小学校給食費無償化は、まだまだ議論がし尽くされておらず、現段階ではあまりにも性急であると考えます。

 市内小学校の給食費は、1食あたり240円の食材費のみの負担です。他の自治体と比較しても決して高くはありません。負担していただける方には受益者負担が妥当であると考えます。小学校の給食費は、今まで通りのご負担をお願いします。


2022/09/30
小中学校半年間給食費無償になった理由
9月定例会が終わりました。一般会計補正予算にて「小中学校半年間給食費無償」が可決されました。しかし、令和3年3月定例会においては、小学校給食費無償化は可決されませんでした。その際の主な理由は、「恒久的な財源の裏づけがない」「無償化の目的とその対象が不明確」「すでに給食費が…

  


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2021年03月31日

小学校給食費無償化にならなかった理由



3月定例会が終わりました。

小学校給食費無償化は、可決されませんでした。

主な理由

① 財政的な裏づけがない

② 無償化の目的とその対象が不明確

③ 低所得世帯に支援が及ばない


① 小学校給食費無償化には、毎年約8億円の予算が必要です。今回約5億円は、道路や公園の維持管理など様々な市民サービスの予算を削減し確保したとしても、差額の約3億円は、財政調整基金を取り崩しての予算組みであり、恒久的な財源の裏づけがなされていません。財政調整基金とは、災害時など不測の事態のために市が貯金しているお金です。もしもの時のお金を取り崩してまで給食費を無償化することに多くの議員が賛成できませんでした。賛成したのは、議長を除く35人の議員のうち、7人(まちフォーラム4人、共産党3人)だけでした。

② 子どもたちの健やかな心と体を育むとともに、保護者の教育費負担を軽減するために小学校の給食費を無償化しますとのことですが、中学校や、幼稚園・保育園は無償化しなくてもよいのでしょうか?小学校だけ無償化することが理にかなっていると言えますでしょうか?また、「子どもたちの健やかな心と体を育む」ことも無償化の理由にありますが、そもそも給食が有償か無償かは関係なく、今までと何ら変わらない給食を食べるわけですから、理由としては当たらないと言えます。さらに、食物アレルギーや、不登校など様々な理由で給食を食べられない子どもたちに対しての支援策は講じられておらず、施策として十分に練られているとは言えません。

③ これまでも約15%の低所得世帯については、すでに給食費無償化がなされております。したがって、小学校給食費無償化は、残る85%の世帯に児童1人あたり年間約45,000円の負担が軽減され無償化の支援が届くことになります。その一方で、もっとも支援を必要とする低所得世帯には支援が及びません。同じ8億円を使うのであれば、本当に支援を必要としている低所得世帯に支援することの方が有意義であると考えます。

 毎年約8億円ということは、10年経てば80億円です。多大な財政負担です。老朽化している市内小中学校の校舎の大規模改修は、令和3年度の見込みで改修済みの体育館は全体の50%、校舎は全体の34%と、まだまだ大規模改修も道半ばです。校舎については未だ約3分の1しか終えていないのです。洋式化されていないトイレや雨漏りする古びて傷んだ使い勝手の良くない校舎で勉強している児童生徒もまだまだ大変に多いのが現状です。また、令和3年度の大規模改修の予算額は約38億円です。今後も毎年巨額の事業費が必要となります。保護者の教育費負担軽減のために、毎年約8億円を充てることも考え方としてはあるかと思います。ですが、私は、校舎の大規模改修を手厚く着実に進め、未来を担う児童生徒が心地よく学校で勉強できる環境を整えることの方が必要性が高いと考えます。

 いずれにしましても、小学校給食費無償化は、まだまだ議論がし尽くされておらず、現段階ではあまりにも性急であると考えます。

 市内小学校の給食費は、1食あたり240円の食材費のみの負担です。他の自治体と比較しても決して高くはありません。負担していただける方には受益者負担が妥当であると考えます。小学校の給食費は、今まで通りのご負担をお願いします。  


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